こんにちは!古谷歯科医院 古谷 容です。
皆さん、“歯科的年齢”という言葉、ご存知ですか?「えっ、なにそれ、聞いたことないよ!」・・・聞こえてきますね(笑)。さてどんな意味なのでしょうか?大家さんと与太郎さんの話を聞いてみてくださいね。では!!
「おやおや与太郎さん、どうしたんですそんなに浮かない顔をして」
「いやね大家さん、2,3日前からどうも歯の調子が悪くなりましてね」
「それは大変ですね、それでどんな具合なんです」
「どんな具合って、あっちこっち抜けてたり穴があいてたりで、それでもって滲みたり痛かったりで、ここんとこおまんまが食えないんですよ」
「ほうおまんまが頂けないんじゃ、仕事にも触りますね」
「そうなんですよ、親方からはどんどん仕事が回って来るし、女房にはガミガミ言われるしで・・・」
「それじゃあ、立つ瀬がないですね」
「そうなんですよ、ところで大家さん、歯の方はいかがなんです?」
「私ですか?親知らずを入れて32本きれいにありますよ」
「えっ!!失礼ですけど大家さん、お幾つにおなりで?」
「そうですね、今年70歳になったところですか、与太郎さんはおいくつに?」
「あっしは28になりました、でもおかしいじゃないですか」
「なにがですか」
「だって大家さんは70で32本もの歯が綺麗にあって、あっしはまだ28なのにもうボロボロなんておかしいじゃないですかって、そう言ったんですよ!」
「なんです、急に?」
「だってうちの死んだ婆さんが昔言ってましたよ、年取ったら歯は抜けるんだって、歳だから仕方ないんだって」
「あ〜、そのことですか、実は私も昔はそう思っていたんですよ、実は。でもね、町内の古谷先生に色々教わったところ、どうも違うってことが分かったんですよ」
「なんですそれは?」
「いえね、年齢は二つあってね、暦の年齢ともう一つはね、え〜っとなんて云いましたかね・・・そうそう“歯科的年齢”ってものがあるらしいんですよ」
「なんです、その、“しかてき”ってのは、“ビフテキ”みて〜なもんですかい?」
「違いますよ、“歯科的年齢”って云うんです。口の中の健康年齢とでも云うんですかな」
「へ〜、そんなもんがあるんですかい」
「私も先生から聞いて初めて知ったんですけどね、これが口の健康を見ていくうえでとっても大切な物差しになるみたいなんですよ」
「ってことはなんですかい、あっしみて〜に歳は若いが歯はボロボロな奴がいるし、反対に大家さんみて〜に歳はとってるけど歯はピカピカなお人もいなさるってことですかい」
「そうなりますな、そしてね、その“歯科的年齢”の分類によると、私は“若人”で与太郎さん、あなたはおそらく“成人後期”ってところですかね」
「成人?後期?・・・」
「おいおい、そう気を落としなさんな」
「だってあっしはまだ若いのに、もうこの先ひで〜事になるんでしょ?」
「まあまあお待ちなさいな、これもな先生からお聞きしたことですがね、“歯科的年齢”にはね、私の“若人”と与太郎さんの“成人後期”の他に、“成人前期”と“老人”ってのがあるんだそうですよ」
「へ〜、じゃあ全部で四つに分けるんですかい、でもいくら分けたって、あっしがひで〜事になるってのには変わりないんでしょ?」
「そんなことはないでしょうよ、そうだ、ちょうど明日先生にお会いするので、与太郎さんのことよ〜く聞いてきますよ」
「よろしくお願いしますよ、大家さん、でもひで〜事になるんだろうな〜(涙)」
次の日大家さんは古谷先生のところで“メンテナンス”なるものを受けたのであった。なんでも三ヶ月ごとに歯や歯ぐき、噛み合わせなどの検診、そして上手にお手入れができているのかどうかのチェック、また歯のクリーニングなどをしてもらうのだそうだ。
あまりの気持ちよさにすっかり夢見心地になった大家さんは、メンテナンス終了後、与太郎さんのことはすっかり忘れ、ちょっとした用達に神田に出て、気が付くと淡路町の“まつや”で熱いのを一杯やっていたのでした。
そこへ、ドヤドヤと店に入ってきた4,5人の中に、与太郎の顔が・・・。
「あっ、大家さん!どうでした、あっしの歯のこと、先生、なんて言ってました?」
盃を持ってあんぐりと口を開けたまま、目が点になっている大家さんを見た与太郎さんは、
「なにか変だ」と察するのでした・・・・・。
本日はこの辺で、お後がよろしいようで。続きは後日のおたのしみ(笑)。
解説
歯科的年齢とは、私の“大師匠”のパンキー先生が考案した患者さんの分類法です。デンタルドックのデータから患者さんのお口の健康度を大まかに4つに分類します。
今年70歳の大家さんは、一番左の“若人”そして28歳の与太郎さんは“成人後期”に当てはまります。
さて、皆さんはどこに当てはまりますか?興味ありますね(笑)。