えっ、プリベンション、なにそれ?その5

こんにちは! 守谷市 古谷歯科医院 古谷 容です。

なにやら少しむずかしい話になってきたようですよ。与太郎さん、大丈夫でしょうか?

 

「ところで与太郎さん、インフルエンザの原因ってなんだか知ってますか?」

 

「なんですか先生、藪から棒に。知ってますよ、テレビでも新聞でもうるさいくらいやってますからね。ウイルスです。A とかBとかあるんでしょ?」

 

「ほ〜、正解です!凄いですね」

 

「・・・・」

 

「じゃあ、結核と云う病気、聞いたことありますよね。これの原因は?」

 

「菌です。結核菌(きっぱり)」

 

「・・・・、正解、凄いですね与太郎さん」

 

 

このように体の病気については、与太郎さんを含め皆さんよくご存知です。また血圧の正常値や血糖値、肝臓のデータや尿酸値、中性脂肪等々。病院でもらった“短冊”の自分の検査結果と正常値を見比べて「あ〜でもない、こ〜でもない」と一喜一憂しているのをよく見かけます。

 

みなさん、いかがですか?(勿論私もその一人ではありますが・・・笑)。

 

 

「それでは与太郎さん、むし歯の原因は?」

 

「そりゃあ、あれですよ、あれ・・・」

 

「あれってなんです?」

 

「甘いもんです、昔死んだ婆さんがね、よくくれたんです、あんころ餅とかおはぎとか。まあこれが旨いのなんのって、婆さんこれ自分で作るんですよ。そんであっしが好きなの知ってるんで、のべつ作ちゃ〜くれるんです。食べな、とか言って。嬉しそうな目〜してね。そんで夜なんかそのまま寝ちゃうもんだからひとたまりもないですよね」

 

「ほ〜」

 

「そんで、大人になってからは、ほら、先生もご存知のように、酒呑んじゃあ大暴れで、そのまま寝ちゃうし・・・歯の掃除、ですかい?そんなもん適当ですよ。やったりやらなかったりで・・・(盆と正月くらいかな)」

 

「そうですか、与太郎さんは両刀なんですね」

 

「なんです、その両刀ってのは」

 

「甘いものも好きでお酒も大好きって人のことですよ」

 

「確かにそうですね。甘いものには目がないんですよ。それに酒も。そんでこの間、町の検診で血液検査したんですよ」

 

「ほ〜それでどうでした、結果は」

 

「そこなんですよ、血糖値がちょっとヤバイことが分かったんです。空腹時と食後血糖値ってのがあって・・・それにヘモグロビンなんとかってのもあるんですかい?あっしの場合やっぱり糖尿の気が・・・インスリン・・・膵臓、ランゲルハンス島・・・それに酒飲みだから肝臓のGPT、GOTが・・・」

 

「まあそれはいいんです。それにしてもよく知ってますね、与太郎さん」

 

「そりゃあそうですよ、身体の事ですから必死ですよ」

 

「で、むし歯の原因はなんでしたっけ?」

 

「だから、先生、何度も言わせないでくださいよ、甘いもんとてきと〜な歯ブラシです!チョコも好きだしケーキもクッキーも、日本酒も(これも砂糖か・・・)」

 

「じゃあインフルエンザは?結核は?エイズは?」

 

「くどいな〜先生も、ウイルスや菌です」

 

「じゃあむし歯は?あんころもちやおはぎですか(笑)」

 

「・・・・」

 

 

ってな感じで今日も長くなってしましましたので、このへんで。

おあとがよろしいようで(笑)。

 

与太郎さん、がんばれ〜〜〜!!

えっ、プリベンション、なにそれ?その4

こんにちは! 守谷市 古谷歯科医院 古谷 容です。

 

何回も“むし歯は立派な病気!”と知らされた与太郎さん。頭の中はいわゆる大混乱ってところでしょうか(笑)。

 

 

「ところで与太郎さん、むし歯はどうしてできると思いますか?」

 

「どうしてって先生、そんなの当たり前じゃないですか」

 

「どんなふうに当たり前なんです?」

 

「そりゃ、あれですよ、め〜にも云いやしたが、婆さんから聞いた話じゃ、あれでしょ?」

 

「なにがあれなんです?」

 

「年行きゃぁ誰だって歯はぼろぼろになるって、あれですよ」

 

「そうでしたそうでした、そう言ってましたね」

 

「年取りゃあ、歯は抜けるし目は見えなくなるし、耳だって遠くなるってあれデスよ」

 

「じゃあ与太郎さんはまだそれを信じているんですね?それじゃあ諦めるしかないですね(笑)。これからどんどん年齢が上がっていくに従って、ますますひどい事になっていくんでしょう?与太郎さんはまだ若いので、幾つでしたっけ、えっ28ですか、まあ80過ぎくらいまで生きるとして、そうですね、あと50年位は苦しみ続けるわけですか。大変ですね。これから随分と長いこと苦しむんですね(笑)」

 

「・・・・よしてくださいよ、先生も意地悪ですね(医療人の風上にもおけね〜ぜ)」

 

「そうなってからでもいいし、そうならないように今のうちに予め手を打つこともできますけど、どうします?」

 

「どうしますって、そうならないようになりたいから、ここに居るんじゃないですか」

 

「あっそうでしたね、すみませんでした。じゃあ話をもどしましょうか」

 

「早く先へ行きましょうよ、じゃぁむし歯は何でできるんです?」

 

「知りたいですか?」

 

「知りたいっす。お願いします!!」

 

 

解説

ここで質問です。

 

「先生はどうしてむし歯の成り立ちや原因、つまりどうしてできるのかに固執するのでしょう?」

 

答えは「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と云う孫子の教えです。

 

むし歯の“原因と機序”、つまり何が原因でどのようにしてできるのかを知れば、治療に役立つし、治療を受けた歯が良い状態で長持ちするし、何より“予防”ができ新しい虫歯ができない、と云う良いことずくめになるからです。つまり与太郎さんがこれから受けようとしている、プリベンション・プログラムが彼のこれからのにとってどれだけ大切で、おそらく彼の人生を大きく変えるくらいのインパクトを持っているものと信じています。そして与太郎さんが学んだことは、目には見えない無形の“財産”となり、”一生の宝”となることでしょう。

 

本日はこの辺で、おあとがよろしいようで(笑)。