デンタルドック、なにそれ?

こんにちは!守谷市の古谷歯科医院 古谷 容です!

 

今回は、前々回「口腔健康、なにそれ?」の続きです。覚えてますか(笑)。

 

さてさて、話しの途中で飛び出して行った与太郎のことが気になっていた大家さんに、突然彼からのLineが入ったのは、あれから3日後のことでした。

 

「なんだい与太郎さんは、目上の者に対してLineとは失礼じゃないかね、ったく、最近の若いもんは、これだからね」

 

とかなんとか云いながら大家さんはまんざらでもない様子・・・。

 

「なになに?・・・この間のお話しの続きを聞きたいので、明晩、神田須田町の“ぼたん”でいかがでしょうか?・・・だと?何言ってんだろうねこの人は・・・」

・・・と、悪態をつきながらも大家さんは、iPhoneでスケジュールを確認するのでした。

 

「遅いじゃないですか、大家さん。何してたんですか?」

 

「何してたんですかじゃないですよ、こんなところまで呼び出して、どうしたって云うんですか?」

 

「いえね、大家さんと鳥すきでもつつきながら一杯やりたいと思いましてね。それに、この間の続きもお聞きしたいし・・・」

 

「お聞きしたい、と来たね」

 

「いじめないでくださいよ、大家さん、まっ一つ熱いところをどうぞ」

 

「はいはい、すみませんね」

 

「ところで、話の続きですが・・・」

 

「そうでしたね、“デンタルドック”から始めるってところでしたかね?」

 

「そうそう、そうですよ。ところでその“デジタル犬”ってのはなんです?機械仕掛けの犬のことですかい?AIBOってやつなら聞いたことありますよ」

 

「・・・(ため息)、デジタルじゃあありませんよ、デンタルですよ。歯のことを西洋じゃデンタルっていうんですよ」

 

「分かりましたよ、で、なんですそれは?」

 

「先生がおっしゃるにはね、困っているお人の治療を始めるにあたっては、お口の中を徹底的に調べるってことがとっても大事なんだそうですよ」

 

「へ〜、そうなんですか」

 

「だってそうでしょう!与太郎さんの職人仕事だってそうじゃありませんか」

 

「えっ??なんです?」

 

「家を建てる時には土地の具合を調べて、切り株を掘ったり根っこを払ったり、平にしたり盛り土したり、あーだこーだやって、図面引いて施主と相談して、それから始めるんでしょ?」

 

「そうですよ、それが何か?」

 

「歯の治療もおんなじだって、先生がおっしゃるんですよ」

 

「へ〜そうなんですか。今までは困って歯医者へ行った時は、いきなり治療でしたよ」

 

「そうそう、それがいけないんですよ」

 

「何でです?だって痛いんだからしょうがないじゃないですか!」

 

「それはいいんですよ。その後の問題なんですよ」

 

「・・・?」

 

「先生曰く、緊急の治療が終わってからが大事なんですって」

 

「なんでです?痛くなくなればそれでいいじゃないですか(ったく何のことやら)」

 

「実はこれからが大事なんですって・・・、先生がおっしゃるにはね、ここからがスタートなんだそうですよ。与太郎さんが言ってるのは、痛かったその歯のことですよね?」

 

「そうですよ、それがなにか?痛みが治まればそれでいいじゃないですか。何か問題ありますか?」

 

「じゃあ、ほかの歯はどうなんですか?」

 

「ほかの歯は痛くないので関係ないですよ、実際(何言ってんのかね)」

 

「そこなんですよ、良くないのは、いいですか与太郎さん!」

 

「なんです?」

 

「痛いのが痛くなくなればそれでいいんですか?」

 

「いいんじゃないんですか、それで」

 

「ダメダメ、ダメなんです、それじゃ(キッパリ)。いいですか、痛くなければそれでいいんですか?」

 

「たしかに・・・、痛いのがいっとき収まってもそのうちまた別の歯が痛くなったり、その内またその歯が具合悪くなったりで、一向に終わらないんです、たしかに・・・(そう言われりゃそうかも)」

 

「そこなんですよ、与太郎さん、いいですか、口を一つのものとして考えることが大事なんですよ、でもこれは先生の受け売りなんですけどね(笑)」

 

「んなことぁ分かってますよ、大家さん。それでなんです?」

 

「ですからね、“デンタルドック”をやって、お口のね、歯と云わず歯ぐきと云わず徹底的に調べるんですよ。それにね、これはもっと大事なんですが、噛み合わせね、これ大事ですよ。これもよ〜く調べるんですって」

 

「へ〜〜」

 

「隅から隅まで綺麗さっぱり調べて、その結果から、治療のための図面、この間言ったでしょ、将来の青写真を引くんですって」

 

「ほう、そうなんですか・・・(納得かも)」

 

「そうすれば、治療の目標ができてね、将来の健康な口が約束できるんですって」

 

「そりゃいいですね」

 

「“最適口腔健康”ってやつですよ、覚えてますか?」

 

「覚えてますよ、サイケデリックなケンコバさんでしょ?(笑)」

 

「そうですね、よく覚えてましたね」

 

「じゃあ、こう云うことですかい?あっしは先ず、先生のところで、“デンタルドック”とやらを受けることが手始めだってことですね?」

 

「そうみたいですね、それが一番の早道らしいですよ」

 

 

鳥すきを肴にたらふく飲んだ大家さんと与太郎は、ふら付きながら狭い階段をやっとの思いで降りたのでした。

 

 

「もっ、一軒行きましょうよ、大家さん!まだ五つにはなってないですよ」

 

「ったく与太郎さんは困ったもんですね。私は帰りますよ。もう歳ですからね、帰って寝ます。籠を頼みましたから、ちょっと待ってそれから帰りますよ(フロスもしなくちゃね)」

 

「え〜、まだ宵の口じゃありませんか、ったくこれだから・・・」

 

「年寄りはですか(笑)」

 

「いえいえ、そ~じゃありませんが・・・」

 

「お代を出してもらって、話しまで聞かせてもらって、これ以上のことはありませんね、与太郎さん(嫌味充分)」

 

「そうでしたそうでした、少し調子に乗りすぎました。今夜はご馳走さまでした。誘っておいて本当に申し訳ありませんでした、あっ間違えました、お誘いしておいてでした(汗)。早速明日にでも先生に電話して、“デンタルドック”とやらを受けたいと思います。ありがとうございました」

 

最後には極めて素直になった与太郎さんでした。しかし大家さんを見送ったあとの彼がまっすぐ家に帰ったかどうかは、定かではないようです(笑)。

 

おあとがよろしいようで!

 

この続きはまたまた後日、お楽しみに!!

 

解説

最近では、いわゆる“デンタルドック”なるものが巷で見聞されるようになってきました。しかしまがい物も多いようです(失礼)。

 

“デンタルドック”はそもそも、今から50年以上も前に、それまで米国で行われていた歯科における検査を、私の大師匠のパンキー先生が体系づけ、“Complete Examination(完全な検査)”として行っていました。そしてこれを更に発展させたのが私の師匠の川村泰雄です。彼はパンキー先生が提唱したこの検査をコンピュータで行えるようにしたソフト、“MMDD(マルチ・メディア・デンタル・ドック)”を開発しました。つまり、検査をする上で最も大切な“共同診査”をより簡単に行え、患者さんご自身が、お口についての理解を効率よく深めることができる、という画期的なソフトなのです。当院でもこのMMDDを用いて、お口の精密検査を行っています。

 

詳細については、当院HPの“デンタルドック”の項目を参照して下さい。あるいは、“古谷歯科医院 デンタルドック”で検索!!

 

現在お口のことでお困りのあなた、ご自分のお口が「将来どうなってしまうのだろう」と不安をお持ちのあなた、また「生涯自分の歯で生活したい、でもどうしたら良いのか分からない」と云った方々、いかがですか“デンタルドック”を受けてみませんか?

 

将来に対する不安がなくなりすっきりすること請け合いですよ。

 

 

 

次の日与太郎さんは早速先生に電話して、“デンタルドック”の予約をしたのでした。

 

つづく(笑)

今回は真面目(笑)

第一回トゥレット症候群治療推進学会に参加してきました。

 

今回は真面目です。

 

でも、今までが不真面目だったかと云うと、そんなことはないと自分では思っていますが・・・(笑)。

 

ゴールデンウイークに大阪で開催された、第一回トゥレット症候群治療推進学会に参加してきました。

 

「トゥレット症候群とは、チックで定義される症候群であり、発達障害に含まれます。他種類の運動チックと1種類以上の音声チックが一年以上にわたり続き、小児期に発症します。これらのチック症状は自分ではコントロールが難しいもので、本人が肉体的、精神的に苦しいばかりではなく、周囲の人々にも不快な感情を抱かせ、学校・職場・家庭での生活に支障が出ます。この抑えがたい動きや音声がトゥレット症候群の特徴です(NPO法人日本トゥレット協会)」

 

恥ずかしながら最近までこの事について、私自身まったく知りませんでした。きっかけはHPに貼り付けてあったUtubeを見てしまったことです。驚きました。まったくの門外漢の私に何ができるのだろう、しかし、知ってしまった以上何かをしなければいけないのでは、との思いでした。

 

内容は、薬物療法、行動療法等に加え、今回は従来まったく関与してこなかった歯科分野からのアプローチの紹介でした。

 

歯科用スプリントを応用し、症状の改善を図ろうと云う取り組みです。

 

これなら私にもできるのではないか、困っている人の力になれるのではないか・・・と思いました。

 

第一日目は患者さん対象のシンポジウム。二日目と三日目は歯科医師対象の技術セミナーでした。講師はAACP専門医、Maryland Center for Craniofacial TMJ and Dental Sleep DisorderのAnthony B. Sims先生。専門はTMJ, Craniofacial Disorders, Jaw painです。

 

内容はその殆どが、第5脳神経(三叉神経)の解剖と生理、その異常シグナルで生じる様々な障害。適切な画像診断の重要性、適切な病歴の聴取でした。

 

そして歯科用スプリントを用い、患者さんが劇的に変わっていく過程を示した、何症例にも及ぶビデオでの解説。

 

驚きました・・・。

 

三日目午後からの実習では、7人の患者さんに対し、Sims先生が実際にスプリントを調整し、症状が消えていく過程の見学、そして私たちもスプリント調整のお手伝いをさせて頂きました。

 

驚きました・・・。

 

 

 

あっという間の三日間。とても有意義で得るものが多かったセミナーでした。これからは知り合った仲間とチームを作って、少しづつ勉強しながら活動して行きたいと考えています。

長いことPankey先生の歯科臨床哲学を学んできて本当に良かったと、今心から思います。Sims先生もPankey先生についてご存知で、少しの間お話させて頂きました。

 

ゴールデンルール。プロフェッションの考え。目の前の人に対し、自分の持っている最善のことをすること。自分がしてもらいたいことを目の前の人にすること・・・。

 

このことを行動の規範として、生きたいと思っています。応援よろしくお願い致します。

http://www.pntts.net

第一回トゥレット症候群治療推進学会で検索して下さい。そして是非動画を見て下さい。

 

 

では!! 古谷歯科医院 古谷 容でした。