えっ、プリベンション、なにそれ?その24

こんにちは!守谷市古谷歯科医院、古谷 容(いるる)です。

 

何やら話は佳境に入ってきたみたいですね。与太郎さん、付いていけるでしょうか(笑)。

 

 

「ばい菌の塊?・・・バイオフィルム?・・・必死に生きている?・・・固いもの?・・・オイラの口で・・・」

 

「なにをぶつぶつ言っているんですか?与太郎さん、よたろ〜さん!!」

 

「あっ、すいませんすいません。でもなにをって先生、ばい菌も必死で生きてるって話は分かりましたよ。口ん中も腹の中も同じように常在菌なんでしょ?」

 

「そうですよ、それが何か?」

 

「それが何かって先生、同じ常在菌なのに腹ん中では悪さしね〜のに、なんで口ん中だけむし歯とか歯周病とか作ってるんですか?おかしいじゃね〜ですか」

 

「良いところに気が付きましたね、素晴らしい!口の中もお腹の中もそれぞれ“常在菌”というばい菌たちが住んでいるんです。与太郎さんの言う通りなんです。そしてね、“常在菌”は普通、悪さをしないんです、よそではね。ところが口の中だけ“常在菌”がむし歯や歯周病の原因を作ってしまうんです」

 

「そこがおかしいってんですよ、そこが。だって“共生”してんでしょ?!」

 

「そうですよ。でも、なぜ仲良く暮らしているのに悪さをするのか。その理由が知りたいんですよね?」

 

「そうさっきから言ってるじゃないですか。教えてくださいっての!」

 

「分かりました。その答えは、さっき話していた、しがみつきなんです」

 

「しがみつきですか?ってことは“バイオフィルム”ですかい?こいつがそもそもの原因ってことなんですね?」

 

「正解!そして落合先生がおっしゃるには、このバイオフィルムはあちこちにあるそうなんですね。どこかというと水のある所、つまり海、川そして下水道といったところなんです」

 

「そして固い物の表面にってわけですね(笑)」

 

「与太郎さん、隅に置けませんね(笑)その通りです。水の中に浮かんでいるばい菌が固いものの上にしがみついて、ねばねばの、そうですね、接着剤みたいなものを出すんです」

 

「でも先生、つるつるの固い物の表面にどうやってしがみつくんです?あっしにはちょっとできませんよ。なんか引っかかりみて〜なものがありゃあ別なんでしょうけど」

 

「そうですね。その引っ掛かりはこういうことなんです。水の中にはね、いろいろな成分があって、有機成分と言うんですけれどね、これがまず表面にくっついて、有機性被膜というものを形成するんです。もちろん落合先生の受け売りですが・・・」

 

「先生、そんなことは端からわかってますよ。ということはその有機性被膜ってのがばい菌のひっかかりになるんですね?」

 

「そうです。有機性被膜がバイオフィルム形成の第一歩だそうです」

 

「そうですかい。じゃあバイオフィルムができるとどんないいことがあるんです?いいことがあるからできるんでしょ?いいことがなかったら誰も何もしやしませんからね」

 

「確かにその通りですね。いいことがあるんです。ばい菌にとってですけどね」

 

「え〜い、もったいぶらずに教えてくださいよ、ったく(大家さんと同じだぜ)」

 

「分かりましたよ。実際水の中でプカプカしていたらなかなか栄養が摂りづらいんです」

 

「ってことはあれですかい、おまんまがうまく食えね〜ってことなんですね?」

 

「正解!一箇所で動かないでみんなとスクラム組んでいたほうがいいということなんでしょうね」

 

「そうですかい、まるであっしらの長屋の連中とおんなじですね。なんだかんだ言いながら助け合ってますから」

 

「そうですね、ばい菌も私たちと同じ生き物ですからね」

 

「ちげ〜ね〜ですね。じゃあ先生、水ん中の話はわかりましたけど、問題は口ん中ですよね。こっちの方はどんな塩梅なんです?」

 

 

と、まあこんな具合に話は進んできました。いや〜与太郎さん、見かけによらずなかなかご活躍じゃないですか。頭もキレキレですし(笑)。

 

今日もちょっと長くなってしまいました。

 

この続きは次回、おあとがよろしいようで!

 

えっ、プリベンション、なにそれ?その23

こんにちは!守谷市古谷歯科医院、古谷 容(いるる)です。

 

診療室ではいつも大緊張の与太郎さんでしたが、今日はちょっと違うようですね。興味が湧いてきたのでしょうか、それとも先生にうまく乗せられているのでしょうか、さあどちらでしょう(笑)。

 

 

「いい質問だってことは分かりましたから早く先を教えてくださいよ、先生」

 

「分かりました。仲良く暮らしているのに何でむし歯や歯周病を作ってしまうのかということでしたね」

 

「そうです!」

 

「それを知るにはね、もう一度口の中を見る必要があります。例えば“唾液”です」

 

「“だえき”ですかい?なんですそれは」

 

「“つば”のことです」

 

「あ〜“よだれ”のことですかい?」

 

「そうとも言いますね」

 

「そのよだれがどうしたんです?」

 

「考えたこともないとは思いますけれど、一日にどのくらいよだれが出ると思いますか?」

 

 

「よだれが一日にですか・・・ぜんぜんわかんね〜です」

 

「ま、いいでしょう、一日におおよそ1.0〜1.5リットルものよだれが出るんです」

 

「そりゃ本当ですか?そんなに出るんですか。一升弱じゃないですかい(酒だったらいいのにな)。びっくりですね、でも、あっしなんかあれですよ、店先で蒲焼のにおいなんか嗅いだときなんか大変ですよ。そうそうそれに、かわいいおね〜ちゃんなんか見た日にゃあ、それこそど〜っと出てきますよ(たまんね〜ぜ、キャバクラ行きて〜)」

 

「何言ってるんですか、そんな話はどうでもいいんです。パブロフじゃないんですから(まったく・・・)」

 

「すいません・・・えっ、なんですそのパブなんとかってのは?」

 

「パブロフです。源内先生のインターネットで調べてください」

 

「・・・・(冷たいね、ど〜も)分かりました。それでそのよだれがどうしたんです?」

 

「そうそうそうでしたね、大量の唾液が流れるので、ばい菌も流されちゃうんです。そこで彼らも考えたんですね」

 

「ほ〜何を考えたんです?」

 

「与太郎さん、例えば川で流されそうになったときどうします?」

 

「そりゃあ必死でなにか探してしがみつきますよ、いくらなんだって、そうでしょ?流されちゃったらて〜へんですからね、それこそお陀仏ですから(お〜こわ)」

 

「正解!何かにしがみついて流されないようにするんですね、ばい菌もそうするんです。同じようにね」

 

「へ〜、て〜したもんですね、ばい菌も。そしたら何にしがみつくんです?」

 

「固いものです」

 

「口ん中で固いものといゃ〜、あれでしょ、歯ですかい?」

 

「そうですね、当たりです。それとね、補綴物、つまり治療に使った金属、セラミックそれに入れ歯の材料・・・そして・・・」

 

「ってことは先生、口ん中じゅうの固いものにばい菌がしがみついてるってことですかい?」

 

「正解!それをね、落合先生は“バイオフィルム”と言うんだと教えてくれたんです。つまりばい菌の塊ですね。生きるために彼らも必死なんです」

 

「ばい菌の塊?・・・バイオフィルム?・・・必死に生きている?・・・固いもの?・・・オイラの口で・・・」

 

 

あらあら、与太郎さん、また飛び出して行きそうですね(笑)。今度はどこへ行くのでしょう。さすがに松の湯じゃ口の中は洗ってはくれないでしょうに(笑)。

 

この続きは次回、おあとがよろしいようで!