今回は久しぶりに”トゥレット症候群”についてです。

こんにちは! 守谷市古谷歯科医院 古谷 容(いるる)です。

 

今回は、久しぶりにトゥレット症候群の話です。

 

昨年(平成16年)の5月に大阪で開かれた、第一回トゥレット症候群治療推進学会に参加して以来、仕事に対する考えが少し変わってきた気がします。もちろん良い方へですが(笑)。

 

 

不勉強の極みですが、我々の仕事はどうしても近視眼的になりがちです。専門性を強く持っている者は特にそうなります。逆に言えば、そうならなければ専門性を深く追求することが出来ないからです。

 

勢い“他の分野のことは分からない“ということになります。

 

脳外科の専門医は花粉症の治療はしませんね。その逆にアレルギー専門医は脳腫瘍のオペはしないのです。どちらがどうという事ではなく、専門性が違うからです。

 

私は“補綴(ほてつ)”と云う分野の専門医です。

 

ですので、噛み合わせを整え、冠(クラウン)、架橋義歯(ブリッジ)そして義歯(入れ歯)などを用いての“咬合再構成”を主に治療の対象としています。

 

ですから“それ以外は分からない”のです。

 

困ったものです(笑)。

 

 

前振りが長くなりました。

 

こんな私の目の前に、突然トゥレット症候群で日々苦しんでおられる患者さんとそのご家族が現れるようになったのです。

 

学会に参加してまだ一年も経っていないのにです。しかもいくら補綴が専門でスプリント治療は毎日のように行っているとは云え、トゥレットに関しては、極めて“専門外”(汗)。

 

まして患者さんは、いわゆる“藁をも掴む”心境でおいでになっています。

 

「困った!これはマズイことになったぞ!」

 

正直な気持ちです。私に治療できるのだろうか?役に立てるのだろうか?でも目の前に困っている患者さんが・・・。

 

 

患者さんを始めご家族は、

“今日の症状、今日の生活”それにもまして“今の症状、今の生活”を

「なんとかして欲しいんです、少しでもいいんです。チックが減れば本当に助かります。薬はたくさん飲んでいます。飲ませたくないんです、本当は・・・」と訴えます。正直なお気持ちでしょう。

 

「え〜い、60の手習いだ、なんとかなるだろう。ダメ元でやってみよう!」

 

失礼な話です、極めて失礼な話です。でも、実際こんな気持です。

 

“義を見て為さざれば、勇なきなり”でしたっけ(笑)。

 

それでも幸いなことに、まだ数名の患者さんですが、スプリント治療で確かにチック(運動チックや音声チック)が減るのです。

 

不思議です(無責任ですが・・・)。

 

私がそう思っても仕方ないのです。なぜならトゥレット症候群へのスプリント治療に関する研究、まして教科書など無いからです(言い訳ですね)。

 

ですから私たち“トゥレット・フロンティア・ジャパン”のメンバーは手探りの状態ですが、結果を出そうと、少しでも患者さんの苦痛を和らげられればと勉強しているのです。

 

今のところこんな感じです。いかがでしょうか。少しはお役に立てているようです。

 

頼りない“藁”ですが(笑)。

 

 

というわけで、仕事に対する見方・考え方が少し広がったような、そんな感じがしている、今日この頃です。

 

 

最後に、ある12歳の患者さんからこんな言葉を教わりました。

「挑戦すれば失敗もある、でも挑戦しなければ成功もない」い」

 

では、おあとがよろしいようで!