えっ、プリベンション、なにそれ?その4

こんにちは! 守谷市 古谷歯科医院 古谷 容です。

 

何回も“むし歯は立派な病気!”と知らされた与太郎さん。頭の中はいわゆる大混乱ってところでしょうか(笑)。

 

 

「ところで与太郎さん、むし歯はどうしてできると思いますか?」

 

「どうしてって先生、そんなの当たり前じゃないですか」

 

「どんなふうに当たり前なんです?」

 

「そりゃ、あれですよ、め〜にも云いやしたが、婆さんから聞いた話じゃ、あれでしょ?」

 

「なにがあれなんです?」

 

「年行きゃぁ誰だって歯はぼろぼろになるって、あれですよ」

 

「そうでしたそうでした、そう言ってましたね」

 

「年取りゃあ、歯は抜けるし目は見えなくなるし、耳だって遠くなるってあれデスよ」

 

「じゃあ与太郎さんはまだそれを信じているんですね?それじゃあ諦めるしかないですね(笑)。これからどんどん年齢が上がっていくに従って、ますますひどい事になっていくんでしょう?与太郎さんはまだ若いので、幾つでしたっけ、えっ28ですか、まあ80過ぎくらいまで生きるとして、そうですね、あと50年位は苦しみ続けるわけですか。大変ですね。これから随分と長いこと苦しむんですね(笑)」

 

「・・・・よしてくださいよ、先生も意地悪ですね(医療人の風上にもおけね〜ぜ)」

 

「そうなってからでもいいし、そうならないように今のうちに予め手を打つこともできますけど、どうします?」

 

「どうしますって、そうならないようになりたいから、ここに居るんじゃないですか」

 

「あっそうでしたね、すみませんでした。じゃあ話をもどしましょうか」

 

「早く先へ行きましょうよ、じゃぁむし歯は何でできるんです?」

 

「知りたいですか?」

 

「知りたいっす。お願いします!!」

 

 

解説

ここで質問です。

 

「先生はどうしてむし歯の成り立ちや原因、つまりどうしてできるのかに固執するのでしょう?」

 

答えは「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と云う孫子の教えです。

 

むし歯の“原因と機序”、つまり何が原因でどのようにしてできるのかを知れば、治療に役立つし、治療を受けた歯が良い状態で長持ちするし、何より“予防”ができ新しい虫歯ができない、と云う良いことずくめになるからです。つまり与太郎さんがこれから受けようとしている、プリベンション・プログラムが彼のこれからのにとってどれだけ大切で、おそらく彼の人生を大きく変えるくらいのインパクトを持っているものと信じています。そして与太郎さんが学んだことは、目には見えない無形の“財産”となり、”一生の宝”となることでしょう。

 

本日はこの辺で、おあとがよろしいようで(笑)。