こんにちは!守谷市 古谷歯科医院 古谷 容です。
今回は前回の”デンタルドック、なにそれ?”の続きです。
なにやら与太郎さんは思い切って先生の所へ行ったみたいですよ。さてさて、どうなりましたか・・・。
「あ〜〜、緊張する。ったくこれだから歯医者は嫌れ〜だっての(ため息)」
いつもの元気はどこへやら、与太郎さんは、足取り重く古谷歯科医院の玄関前にたどり着き、また一つ大きなため息をつくのでした。
「ど〜しよ〜かな、腹が痛くなったって言って帰っちゃおうかな?いやいやそれじゃ大家さんに何言われるか分かんないしな・・・(あーでもない、こーでもない)」
それでも与太郎さんは、勇気を振り絞り重いドアを開けたのでした。
「こんにちは!!与太郎さんですね?大家さんから伺っていますよ、場所、分かりました?」
予想外に明るいお姉さんの一言にふ〜っと肩の力が抜ける与太郎さんでした。
「ははは、はいっ、与太郎です!」
「だいぶお困りのようですね、お痛みのところはありますか?」
「あああっ、ありません!」
「そうですか、それではゆっくりお話しできますね、良かったですね」
今までの歯科医院とはぜんぜん違う対応に、戸惑いを隠せない与太郎さんでした。
「は〜、そうですか。ありがとうございます」
なんだか少しづつムフムフと笑みがこぼれてくる与太郎さんでした。
「与太郎さん、どうぞお入り下さい」
「へい(でもやっぱり、緊張)」
「こんにちは!古谷です。大家さんから宜しくって言われてますよ。なにやらだいぶひどいって落ち込んでるようですね」
「へい、そうなんです。なんでも“成人後期“だなんて大家さんが言うもんですからね、あっしはこれからどうなっちゃうんだろうって、その内ひで〜事になるんじゃないかって、それを考えると、心配で心配で・・・」
「そうですか、与太郎さんはこれから先のことが心配なんですね?」
「そりゃそうですよ、先生。だってね、何本もむし歯で歯がかけたり抜けたりして、そいでもって、痛んだり滲みたりで、おまんまも上手くいただけないし、仕事にも障るんで本当に困ってるんです・・・」
「そうですか。与太郎さんは歯のことでとても困っているんですね?」
「そうなんです。だって四六時中口のことが気になって気になってね、親方にも、まだ終わらね〜のかとか、明日も休みかとか、かみさんにはうるさいとかなんとか言われるしで、なんだか歯のことでこんなに障りが出るとは思ってませんでしたよ、ったく。なんとかなりませんか、先生?」
「それはたいへんですね」
「人ごとじゃあねぇ〜ですよ、先生。それにね、あっ違った、それにですね・・・」
「いいですよ与太郎さん、それにねで(笑)」
「すいません、じゃあ、それにね、先生、あっしはね、今のことは仕方がねぇ〜としてもね、だってそうじゃあねぇ〜ですか、今までの不養生が原因なんですからね。問題はこれから先のことだと思うんですよ」
「どういうことですか?」
「いやね、大家さんなんかね、失礼ですけど、あの歳であんなに綺麗な歯でね、快調に暮らしてなさるじゃあねぇ〜ですか(悔しいったらありゃしない)」
「ほ〜」
「あっしはね、先生、これから先ね、大家さんみてぇ〜には行かないまでもね、歯のことなんか気にしねぇ〜で暮らしてぇ〜って、そう思うんですよ、どうです先生、無理な相談ですかい?」
「そうですか、与太郎さんはこれから先、口のことを気にしないで暮らして行きたいって、そう思ってるんですね?」
「そうなんですよ、先生!なんかうまい方はねぇ〜んですかい?」
「うまい方法ね・・・。ないことはないですけど・・・」
「え〜い、まどろっこしいな、先生、大家さんじゃあねぇ〜んですから」
「なんです、それは?」
「いやいやなんでもねぇ〜です・・・」
「私は大家さんほどの歳じゃないですよ(笑)」
「・・・・・」
- ・・とまあ、一回目のアポはこんな感じでした。現在は痛むところもなかったので、先生は与太郎さんの思いを全て話してもらったのでした。話しているうちに与太郎さんは、なんだか少しずつ気持ちが軽くなっていくような、不思議気持ちになっていきました。
「なんだかちょっと心持ちが軽くなったかな?へんだね、なんにもしてもらってねぇ〜のにな(不思議ふしぎ)」
と、自分でも釈然としない、与太郎さん。
先生との話しのあと、次回の予約をとって気分よく帰る与太郎さんでした。気持ちがとても軽くなった与太郎さんは、あれこれと思いを巡らせながら、
「今日はどこで一杯、ひっかけるかな〜(ウキウキ)」
ってな調子で、さっきまでのド緊張はどこへやら、足取りも軽く、
「あっそうだ、大家さんに報告しなくちゃ・・・」
とiPhoneを取り出すのでした。
とまぁ本日のお話しはこの辺で。
おあとがよろしいようで、ではこの続きは次回のお楽しみ!
解説
皆さんお気づきでしょうが、与太郎さんは何もしてもらっていないのに、
「なんだかちょっと心持ちが軽くなったかな?へんだね、なんにもしてもらってねぇ〜のにな(不思議ふしぎ)」
と言っています。不思議ですね?どうしたことでしょう?
そうですね、あなたにも今日の与太郎さんのような経験があるのではないでしょうか?あなたが困っていることや悩んでいることを親身になって聴いてくれた家族や先輩、そしてお友達・・・、うなずきながら相槌を交えて、思いっきり話させてくれ、聴いてくれた・・・、嬉しいですよね、解決策は見つからなかったけれど、不思議と気持ちがスーッと軽くなったような、そんな経験、どなたでも一度や二度はあるでしょう。「また一歩踏み出そう!」って思いませんでしたか?
私たちは、本当に困っている方や、生涯自分の歯で暮らしたいと強く思っていらっしゃる方の応援団(今どきはサポーター?)でありたいと考えています。
今日は「お口の健康を手に入れる」ための、その第一歩を踏み出した与太郎さんにとっての記念日になりそうですね。
まあ、今回も長くなりましたので、この辺で終わりにいたしましょう(笑)。
では、又の機会にご期待くださいね。では!!